2025年10月23日

井戸のメンテナンスは必要?代表的な方法をトラブル別に紹介

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井戸のメンテナンスは必要?代表的な方法をトラブル別に紹介

井戸の定期的なメンテナンスは、安定した水の供給を維持し、長く安全に利用するために欠かせません。

本記事では、井戸掘削やポンプの入替、浚渫(しゅんせつ)工事など、井戸のメンテナンスに関する代表的な方法について、井戸設備のトータルメンテナンスを行うゼオライト株式会社のサービスを例に挙げながら解説します。  

適切なメンテナンス方法を知ることで、井戸のトラブルを未然に防ぎ、より安全に長く使用することができるでしょう。

井戸設備の管理やメンテナンスでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

井戸のメンテナンスが必要な理由

一日に大量の水を必要とする事業者の中には、井戸水を日常的に利用しているところも多いのではないでしょうか。とくに病院や老人ホームなどの施設において、安定した水量や水質を常に確保することは、施設を運営するために欠かせません。

こういった井戸を利用する施設では、定期的な井戸のメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠るとさまざまな水トラブルが発生し、最悪の場合、利用者の健康被害や施設の信頼喪失に繋がる可能性も考えられるでしょう。

具体的にどのようなトラブルがあるのかを下記にまとめました。ひとつでも該当するものがあれば早急に井戸のメンテナンスを行うようにしてください。

【よくある井戸トラブル】

  • 水の出が悪い
  • 水が出ない
  • 水が濁っている
  • 変な匂いがする
  • 水の味が変わった
  • 水漏れする
  • 機械音が大きい

水の出が悪い・水が出ない場合は「揚水量の低下」が主な原因として考えられます。これは、水中に含まれる汚れや堆積物(砂や石、泥など)が井戸内や取水口部分に蓄積し、地下水の流入が妨げられてしまうことで起こります。この状態を放置すると、井戸内部の目詰まりが進行して孔内水位も低下するため、どんどん揚水量が少なくなっていくでしょう。

次に水の濁りや異臭、味の変化は「水質の悪化や汚染」が疑われます。これは井戸内の衛生状態が適切に管理されていないことが原因で、堆積物が増えることによって微生物が繁殖してしまうからです。環境によっては人体に害のある大腸菌やレジオネラ菌などの病原菌が発生する可能性も考えられるでしょう。

他にも水漏れや機械音の異常があった場合は、「ポンプの故障や井戸の設備の性能低下」が関係しています。これは汚れや堆積物が放置されると、ポンプに過度な負荷がかかってしまうからです。場合によっては大掛かりな工事が必要になることもあるでしょう。

つまり、これらのトラブルを防ぐためにも、井戸の定期的な洗浄やメンテナンスは必要不可欠だと言えるのです。

井戸の代表的なメンテナンス方法

ここからはゼオライトで提供している井戸のメンテナンス方法を紹介します。

揚水量の大幅な減少には「井戸掘削」

井戸のメンテナンス方法「井戸掘削」

井戸掘削は、揚水量の大幅な減少が見られた際におすすめのメンテナンス方法で、特に地下水位の低下や井戸の老朽化が原因の場合に適しています。

この方法は、新しく井戸を掘削して深い水源を利用するもので、安定した水供給の確保が目的です。また、掘削によって得られる地下水は、これまでよりも良質な水である可能性も高く、その場合は施設運営において大きなメリットとなるでしょう。

そんな井戸掘削には、主に「パーカッション方式」「ロータリー方式」「エアハンマー方式」の3つの工法があります。どの工法も地質条件や目的に応じて使い分けられ、効率的かつ耐久性の高い井戸を構築することが可能です。

【パーカッション方式】
パーカッション方式は、ワイヤーロープの先に1.5〜2トンの掘削ビットを取り付け、それを上下に動かして地面に衝撃を与えながら掘削する工法です。柔らかい地層に適し、作業が速いという特徴を持ちます。

【ロータリー方式】
ロータリー方式は、先端部品であるトリコンビットを回転させて掘削を行う工法です。掘削で発生した堀くず(スライム)は、泥水などの削孔流体を用いて地上へ流し出します。全地層で安定した掘削が可能で、特に深部まで掘削する場合に効果的です。

【エアハンマー方式】
エアハンマー方式は、ボーリングマシンの先端に装着した掘削ビットを、コンプレッサーから送られる圧縮空気でピストン運動させながら地面を打撃し、掘削を進める工法です。硬い地層ではこの方式が最適で、掘削と同時に帯水層の深さや水量を確認することもできます。

なお、ゼオライト株式会社では2,000本以上の井戸掘削実績を持ち、さく井技能士(国家資格)による高い技術力と豊富な経験に基づいた最適な井戸掘削を提供しています。

もちろん井戸掘削後も定期的なメンテナンスを実施し、安定した揚水量を長期間維持するようサポートいたします。

劣化したポンプの交換には「井戸ポンプ入替」

井戸のメンテナンス方法「井戸ポンプ入替」

井戸ポンプは、地下水を汲み上げるために欠かせない機器です。経年劣化や故障によって正常に動かなくなると、揚水量が減少したり絶縁低下や過負荷といった問題が発生することがあります。

こういった状況を放置すれば、さらなる設備トラブルや運営への支障をきたす可能性があるため、劣化したポンプは適切に交換しなければなりません。

この作業の目的は、井戸の効率的な運用を保ち、水供給の安定性を確保する点にあります。一般的に長期間使用されたポンプは、部品の摩耗や錆びなどによって性能が低下します。そのためポンプを新しいものに交換することで、揚水量を回復させたり、エネルギー効率を向上させることができるのです。

ポンプの入れ替えでは、事前に井戸の状態や既存ポンプの性能を調査し、井戸の深さや水位、揚水量に基づいて新しいポンプを選定します。続いてポンプの取り外しでは、専用の吊り上げ装置を使って配管や電源ケーブルを慎重に外し、ポンプをゆっくりと地上に引き上げます。その後、井戸内を点検し、泥や砂の堆積、または壁面の損傷がないか確認します。必要に応じて井戸内の清掃や補修を行うこともあるでしょう。

新しいポンプを設置する際には、揚水管や電源ケーブルを適切に接続し、漏水や配線のトラブルがないよう確認します。ポンプ設置後には試運転を行い、水の揚水量や圧力、電力消費量などを測定して動作確認を行います。この過程で問題が見つかった場合には、正常な運転が確保されるまで調整を繰り返します。

また、新しいポンプを設置した後も定期的に点検や清掃を行うことで、長期間にわたり効率的に運用することが可能です。

ゼオライト株式会社では、国内外の多種多様なメーカーの井戸ポンプを取り扱い、予算や施設の要件に応じて最適なポンプを提案いたします。

専門知識と豊富な経験を持つ技術者が多数在籍しているため、交換後の定期メンテナンスやアフターサポートも充実しているので、ポンプの異音や劣化が気になる方は安心してご相談ください。

井戸の現状を把握するには「井戸孔内カメラ調査」

井戸のメンテナンス方法「井戸孔内カメラ調査」

井戸孔内カメラ調査は、専用の高解像度カメラを井戸内に挿入し、内部の状況をリアルタイムで確認する方法です。

この調査方法を用いることで、肉眼では確認できない井戸内の詳細な状態を把握することができます。たとえば、ケーシングの破損や腐食、スクリーンの目詰まりといった問題を発見できるため、井戸の運転におけるトラブルを未然に防げるのです。

調査では、耐水性と耐圧性を備えた特殊なカメラを使用します。このカメラにはLEDライトが搭載されており、暗い井戸内でも鮮明な映像を映し出すことができます。流れとしては、まずカメラをケーブルで井戸の中にゆっくりと底まで降ろします。そして井戸の内部構造や異常箇所はリアルタイムでモニターに映し出され、映像は必要に応じて録画されます。その後、撮影データを解析して井戸の状態を評価し、問題があれば補修や改善の提案を行います。

この調査で特に注意深く確認されるのは、井戸壁のひび割れや腐食、砂や泥の堆積状況、水質悪化の原因となる要素などです。例えば、井戸壁の亀裂や崩壊が確認されれば、構造の補修が必要になる場合がありますし、砂の侵入や沈着物が原因で水質が悪化している場合には、清掃や異物除去が提案されることがあります。

このように井戸孔内カメラ調査は、井戸を破壊せずにその内部を直接確認できる非破壊検査の一種であり、非常に効率的かつ低コストです。調査結果は、井戸のメンテナンス計画を立てる際に非常に有用です。特に長期間井戸を使用する場合には、定期的なカメラ調査を実施することで、劣化やトラブルを未然に防ぐことができます。

ゼオライト株式会社では、最先端のカメラ技術を用いて、井戸の内部を詳細に撮影し、専門知識を持った技術者がその映像を解析して適切な診断を行います。調査結果は報告書としてまとめられ、井戸の現状を把握した上で、今後のメンテナンス計画に役立てることができます。この方法は、井戸の健全性を維持し、必要な修繕や改修を計画的に実施するために重要なステップとなります。

砂が多く出る井戸には「浚渫(しゅんせつ)工事」

井戸のメンテナンス方法「浚渫(しゅんせつ)工事」

井戸の浚渫工事とは、井戸のスクリーンや底に溜まった泥や砂、堆積物を取り除き、井戸の機能を回復させるための作業です。

井戸は長期間使用していると、揚水とともに細かい砂や泥がスクリーンや底に溜まり、徐々に揚水能力が低下したり、水質が悪化することがあります。このような問題を解消するために、浚渫工事が行われるのですが、工事の目的としては、井戸内を清掃し、元の状態に近い水量と水質を取り戻すこと、そして井戸の寿命を延ばす点にあります。

浚渫工事は、まず井戸の状態を確認することから始まります。井戸の深さ、直径、水位、堆積物の量や性質を調査し、最適な浚渫方法を決定。一般的に使用される方法としては、ポンプによる吸引や、専用のバケット(浚渫用の器具)を使った方法があります。

ポンプによる浚渫とは、井戸底に溜まった泥や砂を水と一緒に吸い上げて地上に排出する方法です。一方、バケットを使用する方法は、井戸の底に器具を下ろして堆積物をすくい取る形で行われます。どちらの方法を選ぶかは、井戸の規模や堆積物の種類によって異なります。

浚渫工事では、井戸内に損傷を与えないよう慎重に作業を進めなければなりません。特に、堆積物の除去に伴って井戸壁が露出したり、崩壊する可能性があるため、作業後に井戸内の壁面を点検し、必要に応じて補修を行います。また、水質の維持も重要で、作業後に一時的に水が濁ることがあるため、ポンプで井戸内の水を循環させて洗浄し、透明度を回復させる作業が加えられることもあります。

このように井戸の浚渫工事は、専門知識と技術を必要とする作業であり、特に深井戸や大規模な井戸では適切な機材と経験を持つ専門業者に依頼することが重要となるでしょう。

ゼオライト株式会社では、浚渫工事において高度な技術と豊富な経験を活かし、さまざまな井戸の問題に対応しています。堆積物の性質や井戸の構造に応じて最適な方法を選定し、安全かつ迅速に浚渫作業を行うことで、井戸の性能を回復させるだけでなく、長期的な安定運用を実現します。

また、蓄積したデータとノウハウを活用することで井戸の再生も可能ですので「この井戸ってまだ使える…?」とお悩みの方は一度ご相談ください。

既設ケーシングの腐食や破損には「二重ケーシング」

井戸のメンテナンス方法「二重ケーシング」

二重ケーシングは、既設ケーシングの内側に新たなケーシングを設置する方法です。これは既設ケーシングの腐食や破損箇所を補強し、井戸の密閉性や構造の耐久性を高めることを目的としています。

そもそも井戸のケーシングは、地下水の流入を制御し、周囲の土砂や不純物が井戸内に侵入しないようにする重要な役割を持つものです。しかし長年の使用や地下環境の影響により、ケーシングが腐食することがあります。これを放置すると井戸内に土砂が流れ込んだり、水質が悪化したりするなど、井戸の機能が著しく低下する原因となってしまうのです。

そこで二重ケーシングによる補強を行い、井戸の密閉性を高める必要があるのです。また、二重にすることで地層による圧力や動きから井戸の構造を守り、長期的に安定した供給が可能になります。特に、地震などによる地層の動きが予想される地域では、二重ケーシングによって井戸の損傷を最小限に抑えることができるでしょう。

ゼオライト株式会社では、二重ケーシング工事において専門的な技術と知識を活かし、最適な施工を提供しています。また、施工後のメンテナンスも含め、井戸の長期的な安定運用をサポートいたしますので、既設ケーシングの腐食や破損が確認された場合にはご相談ください。

内部の汚れ・スケール対策・本体の目詰まりには「能力回復洗浄(井戸孔内洗浄)」

井戸の洗浄は必要?トラブルの原因や井戸の洗浄頻度、おすすめのメンテナンス方法を紹介!

能力回復洗浄(井戸孔内洗浄)は、井戸内に蓄積した汚れや目詰まりを解消し、井戸の性能を回復させるためのメンテナンス方法です。

汚れには砂や泥のほか、スケール(水中に含まれる鉄やマンガン、カルシウムなどが井戸内部に付着したもの)があり、これは井戸を長期間使用するうちに少しずつ蓄積していきます。

細菌や堆積物による汚れが発生すれば、揚水量の減少や水質の悪化につながることも考えられるでしょう。これらの問題は井戸全体の運用に支障をきたす可能性があるため、定期的な洗浄が不可欠です。

能力回復洗浄では、高圧水や専用の薬品を用いて井戸内を洗浄し、壁面やスクリーンに付着したスケールや堆積物を取り除きます。スケールの除去により、地下水の流入がスムーズになり、揚水量が回復します。また、細菌や汚れを除去することで水質の改善が図られるため、井戸水の安全性も向上します。この洗浄方法は、井戸の状態や汚れの程度に応じて最適な手法を選択できる柔軟性が特徴です。

ゼオライト株式会社では、能力回復洗浄を通じて井戸の性能を最大限に引き出すための技術とノウハウを提供しています。弊社の専門技術者が、井戸内の状況を詳細に調査し、それに基づいて最適な洗浄方法(ブラッシング、エアーリフト、スワビング、バッグウォッシング、薬品洗浄)を提案いたします。詳しくは、「井戸の洗浄は必要?トラブルの原因や井戸の洗浄頻度、おすすめのメンテナンス方法を紹介!」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

また、洗浄後も完了後も定期的なメンテナンスやアフターサービスを提供しておりますので、揚水量の低下や水質の変化に悩んでいる方は気軽にご相談ください。

なお、ここまでで取り上げたメンテナンス内容のさらに詳しい情報は、こちらのページで紹介しています。

井戸のメンテナンスに関するご相談はゼオライト株式会社へ

井戸や水処理プラントのメンテナンスでお困りではありませんか?

ゼオライト株式会社では、井戸掘削からポンプ入替、浚渫工事、能力回復洗浄、二重ケーシング工事、さらには井戸孔内カメラ調査まで、幅広いサービスを提供しています。

井戸掘削に関する専門サービスも提供しており、地下水(井水)の膜ろ過飲料化システム設置に伴う井戸掘削のほか、井戸のみの掘削依頼や災害用井戸の設置なども承っております。

さらに、本記事で紹介した井戸の定期的なメンテナンス業務以外にも、水処理プラントの設備保全、洗浄、測定分析、調査まで幅広い対応が可能です。

  • 洗浄サービス
    水処理施設の効率を高めるためのパイプやフィルターの洗浄を丁寧かつ迅速に行います。
  • 測定・分析
    井戸や施設の水質・構造を徹底的に調査し、問題点や改善の余地を明確にします。
  • 調査業務
    設備の長寿命化や効率化を目指し、環境に応じた適切な対策を提案します。

また、ゼオライト株式会社は創業55年という長い歴史を持ち、資格者延べ63名(2024年1月時点)を擁するプロフェッショナル集団です。現在、約700件のメンテナンス契約を受託しており、多くのお客様から信頼をいただいています。

水処理設備や井戸のメンテナンスについてお困りの際は、ぜひゼオライト株式会社にご相談ください。豊富な経験と専門知識で、お客様の設備を最適な状態に保つお手伝いをいたします。

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