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水処理コラム

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14.地下水の仕組みについて徹底解説!地下水が溜まる理由や汲み上げ方法は?

2023.09.11
地下水の仕組みについて徹底解説!地下水が溜まる理由や汲み上げ方法は

井戸の水源となる地下水は、飲料水として利用できる水もあるほど、水質がきれいだとされています。しかし、地下水の元を辿ると、雨水が地面に浸透して溜まったものなので、きれいな水とはいえません。

それではなぜ、地下水は地中に入ると浄水されるのでしょうか。その理由は、地下水の仕組みに隠されています。

本記事では、地下水が溜まる仕組みや、水質がきれいになる仕組みなどについて詳しく解説していきます。また、地下水を利用する方法やメリットも紹介するので、地下水の活用を検討している方は参考にしてください。

地下水とは?

地下水とは、地表で降った雨や雪が地中に浸透して溜まった水のこと。浸透する段階で、土や石などによって自然とろ過されていくため、比較的きれいな水質になるという特徴があります。このことから、昔から地下水は井戸水として利用されてきました。

その用途は様々で、主に、生活用水、工業用水、農業用水などがあります。

生活用水 飲用や炊事用、風呂やトイレ、洗濯といった洗浄など、生活の中で日常的に使う水
工業用水 工場などの機械の冷却や洗浄に使う水
農業用水 水田や畑地に供給する、農作物を育てる上で必要な水

また、地下水の水質によっては、適切な処理を行うことで飲料水として利用することも可能です。後ほど紹介しますが、地下水には多くの利用価値があり、上記で触れた用途以外にも、災害時の備蓄水としての活用が注目を浴びています。

地下水の仕組み

地下水の仕組み

地下水は、「地上で降った雨水が地中に浸透し、何層もの地層を流れる段階で、一部の層に溜まる」という仕組みをしています。

ここからは、もう少し詳しく地下水の仕組みについて確認していきましょう。

  • 地下水はどこに溜まるのか
  • 地下水はどんな流れで移動するのか
  • 地下水を汲み上げるにはどうするのか
  • 地下水を汲み上げすぎるとどうなるのか

地下水の仕組み①:どこに水が溜まるのか

地中に浸透した雨や雪は、何層にも重なった地層を通るのですが、その中に水を通過させにくい層があります。その層の上に水がどんどん溜まっていったものが地下水の正体です。

そもそも地中は、砂や礫(小石)でできた水を通しやすい「帯水層」と、粘土質で水を通しにくい「不透水層」に分けられます。

「地表→帯水層→不透水層→帯水層→不透水層→帯水層」のような順番で何層かに重なっており、不透水層では非常にゆっくり時間をかけて水が浸透していきます。そのため、不透水層の上にある帯水層にどんどん水が溜まっていく(=地下水になる)という仕組みなのです。

また、帯水層に溜まった地下水にも種類があり、地表から近いものが「不圧地下水」で、不透水層よりも下にある地下水を「被圧地下水」と呼びます。基本的には、地表から深くなるにつれて濾過が進むので、水質もきれいになると言われています。

地下水の仕組み②:どんな流れで移動するのか

地表から地中へと浸透した水は、基本的には重力によって上から下へと流れます。そしてそのまま河川に繋がり、川の水分が蒸発して雲となり、雨を降らせ、また地中に戻るといった流れで循環しています。

しかし、地質の条件によっては圧力が変わることがあるため、水の流れが変わる場合もあるのです。これが地中から地表に向かって湧き出る「湧き水」の正体です。

また、地中を流れる水の速さは、一般的に毎秒0.01cm~0.1cm(10m~100m /日)とされており、地質の条件によっては毎秒0.001cm未満(1m未満 /日)と非常に遅い場所もあります。

このように地下水はゆっくりと時間をかけて、上から下へ、下から上へ、右から左へなど三次元的に流れているのです。

地下水の仕組み③:どうやって汲みあげるのか

地下水を利用する場合は、まずは地面を掘って穴を開け、地下水を地上まで汲みあげるために揚水管とポンプの設置が必要です。

ポンプには手動と電動がありますが、どちらも水を汲み上げる原理は同じです。ストローのように真空状態を作り、大気圧で液体を上昇させるという仕組みをしています。

なお、汲み上げる地下水の深さによって「浅井戸」と「深井戸」に分けられます。

浅井戸

浅井戸は、地表に近い地下水を汲み上げた水のことで、地表から10mまでの深さにある水です。地表近くにあるということは、周囲の環境に影響されやすく、自然のろ過もまだ十分にされていないということ。そのため、水自体に不純物を多く含んでいることが多いです。

深井戸

一方、深井戸は地下深くの被圧帯水層から汲み上げた水のことで、地表から20m〜30mよりも深い場所にある水です。地下深くあるため、周囲の環境の影響を受けにくく、多くの地層を経てろ過も十分にされています。

つまり、深井戸の水は不純物が少なく、水質と水温も安定していると言えるでしょう。ただし、飲料水として利用する場合は、水処理プラントなどを設置し、適切な処理を行うことが前提です。水道法の水質基準を満たした水にする必要があります。

地下水の仕組み④:汲み上げすぎるとどうなるのか

雨が降れば地下水は無限に作られますが、地中に浸透した雨水は非常にゆっくりと下層へと流れていきます。そのため、短期間で地下水が使える量には、ある程度の限界があると言えるでしょう。

また、地下水を汲み上げすぎてしまうと、水が涸れてしまうだけでなく、塩水化や地盤沈下といった問題が生じてしまうため注意が必要です。

塩水化

塩水化とは、地中の水脈から海水が入り込み、地下水の塩分濃度が高くなる現象のことを言います。とくに海に近い地域では起こりやすく、一度塩水化してしまうと元の状態に戻るまでにかなりの時間がかかると言われています。

塩水化の原因は、地下水を汲み上げすぎたことによって地下水位が下がり、土壌が海水を引き込んでしまうからです。そして塩水化が進むと、井戸水の水質が悪くなり、生活用水はもちろん、農業用水などでも使えなくなってしまうでしょう。

地盤沈下

地盤沈下とは、地層の粘土層の水分量が落ちることで地層自体が縮んでしまい、その結果として地面が下がる現象です。

地層には砂や礫の層(帯水層)と粘土の層(不透水層)がありますが、適量を汲み上げる場合は砂や礫の層にある水が引き上げられます。しかし、適量以上の地下水を汲み上げると、帯水層だけでは足りなくなり、不透水層からも水分を搾り取ることになるのです。

砂や礫は強固な層なので簡単には縮みませんが、粘土層は柔らかいため縮みやすく地盤沈下に繋がります。そして、地盤沈下が進むと、建物が傾いたり、大雨による浸水被害などの原因になるのです。

地下水を水源として活用するメリット

地下水を水源として活用するメリット

地下水は自然のろ過を経て比較的きれいな水質である上に、地上の影響を受けにくく水温も安定しています。適切な処理を行えば飲料水としても利用できるというメリットがありますが、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

災害時における水の確保

地震などの災害時では水道が断水することが多く、水道水が復旧するまでに必要な水を確保しなければなりません。そんな時に地下水が利用できれば、安全で安定した水が供給できます。

通常、水道が断水した場合は、ペットボトルの備蓄水や、地域の給水所で配られる水に頼ることがほとんどでしょう。しかし、備蓄水はスペースを取りますし、地域の給水所でも十分な量を素早く確保することは難しいのが現実です。

対して、地下水は地下に多くの水を蓄えられる上に、地震の影響を受けにくい作りとなっているため、災害時に非常に有用的だと言えます。

とくに病院や老人ホームなど、日常的に多くの人が利用する大型施設では、災害対策として地下水の活用が推奨されています。

このような施設で断水してしまえば、事業の継続が難しくなるだけでなく利用者の命を危険に晒す事になりかねません。そんな最悪の事態を防ぐためにも、地下水を活用する際に必要な水処理プラントの導入が普及しているのです。

水道代の削減

地下水を活用するもう一つのメリットには、水道代のコスト削減があげられます。これは、生活や事業に必要な水源を水道水と地下水の二元化するからです。

もちろん地下水を浄水処理するプラントの導入費用や、メンテナンスにかかるランニングコストもありますが、それでも地下水を利用する方がトータル費用が安くつく傾向にあります。導入方式の中には、自社でプラントを持たず初期投資が不要で、水の使用量に応じて費用が発生するオンサイト方式というサービスもあります。

また、地下水は過剰採取しない限りは「地下水の仕組み」でも説明したように、常に循環しているため、半永久的な水源の確保が可能となるでしょう。

関連記事「井戸水のメリットや活用例とは?地下水を活用した「井水浄化システム」でコストを削減!

 

※PFAS(有機フッ素化合物)は一部地域で地下水からも検出されています。
PFAS汚染と対策については「PFAS(有機フッ素化合物)とは?規制や除去する方法を徹底解説!」をご覧ください。

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高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。

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