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ゼオライト株式会社

水処理コラム

「水処理」の技術・知識・現場の情報などを解説します

4. 井戸の仕組みとは?種類と特徴・ポンプの原理・井戸水のメリットについて

2022.10.27
井戸の仕組みとは?種類と特徴・ポンプの原理・井戸水のメリットについて

本コラムでは、井戸の基本的な仕組みから、井戸の種類、ポンプの仕組み、浅井戸・深井戸の特徴、井戸水(井水)を利用するメリットについて解説しています。

現在、災害時の備えや地球環境保護の観点から、日本各地で井戸水(井水)の重要性が再認識されています。

弊社ゼオライトの井水浄化システムや施工例についてもご紹介していますので、井戸の導入を検討されている方は、ぜひ参考にご覧ください。

井戸の基本的な仕組みについて

井戸とは地中に向かって人工的に掘削した採水設備を指し、主に地下水を汲み上げる目的で使用されます。

井戸で利用する地下水は雨や雪等の降水が地中に浸透したもので、帯水層と呼ばれる層から汲み上げます。帯水層とは砂れき(砂や小石)で構成された透水性の良い層のことで、地下水は砂れきの隙間に流動性を持って蓄えられています。

帯水層は水の流れが速く、大量に汲み上げることができる一方で、流れが追いつかないほどの過剰な量を汲み上げてしまうと地盤沈下する恐れがあるため、掘削前綿密な調査と掘削後の適正な揚水計画が必要となります。

井戸の種類・特徴・仕組み

井戸は汲み上げ方式の違いによって、「つるべ井戸」「手動ポンプ(手押しポンプ)」「電動ポンプ」の3つに大きく分類することができます。

つるべ井戸の仕組みと特徴

つるべ井戸の仕組みと特徴

縄に取り付けた桶「つるべ(釣瓶)」を井戸に落として井戸水(井水)を汲み上げる井戸をつるべ井戸といいます。滑車を利用して縄を引くものが一般的ですが、木などの先につるべを下げ、テコの原理を利用して汲み上げる跳ねつるべ井戸というものも存在します。

簡単な構造のため維持管理がしやすく、災害等により水道や電気が使用できない時にも水が確保できるという利点を持っています。

日本では江戸時代中期に普及して明治以降に衰退していきましたが、インフラ整備が行き届いていない国や地域では現在も主な水源設備として活躍しています。

手動ポンプ(手押しポンプ)の仕組みと特徴

井戸の仕組みとは?種類と特徴・ポンプの原理・井戸水のメリットについて

江戸時代末期から明治以降にかけて、つるべ井戸から手動ポンプ(手押しポンプ)の井戸へと切り替わっていきました。

液体に接した円筒内部が液体の飽和によって真空になると大気圧のはたらきによって液体が上昇するという原理が用いられており、ハンドルに連動したピストンがポンプ内で上下して真空状態を作り、大気圧を利用して吸い上げる仕組みになっています。しばらく使わずにいるとポンプ内の空気量が多くなってしまうため、ポンプ内に水を注ぎ入れて真空状態を作るのですが、この際に注ぎ入れる水を「呼び水」といいます。

電動ポンプの仕組みと特徴

電動ポンプの仕組みと特徴

電動ポンプ方式の井戸は、昭和30年代以降に普及し始めました。

井戸水(井水)を汲み上げる仕組みは根本的に手動ポンプと同じなのですが、人力ではなく電動モーターによって水を押し上げるため、電源を入れるだけで吐水します。

電動ポンプには、水を高圧噴射して押し上げるジェット式や、水中でモーターを駆動させて押し上げる水中ポンプ式などがあります。またスケール成分の多い温泉水などには、コンプレッサー等のエアリフト方式を用いた揚水設備もあります。

浅井戸と深井戸の仕組み・特徴

井戸は深さの違いによって浅井戸と深井戸に分類されます。

そこで、それぞれの特徴やメリット・デメリットについてご紹介します。

浅井戸の仕組みと特徴

浅井戸とは、地表面と不透水層(地下水を通しにくい層)の間にある第1帯水層を利用する井戸で、深さはおよそ20〜30m未満にとどまります。この層から汲み上げられた地下水は、大気圧以外の圧力を受けていないことから「不圧地下水」と呼ばれています。

つるべ井戸が普及していた江戸時代は人力で井戸を掘削していたため、深度5〜10m程度の浅井戸が主流でした。

また手動ポンプ式の井戸に関しても、大気圧のはたらきを利用している仕組み上、深度10mまでしか吸い上げることができませんので、必然的に浅井戸となります。しかし、深度10mというのはあくまで理論上の数値であり、実際のところは6〜9mまでの深さが限度となります。

浅井戸のメリットは、工事費用が比較的安価で、工事期間も短く済むことです。一方でデメリットには、地上の影響を受けやすいため良好な水質とは言えず汚染を受ける可能性もあり、また水の量も安定しない点が挙げられます。

昔は飲み水としても利用されていましたが、土壌汚染や地下水汚染が問題視されている現代においては好ましくなく、主に散水や雑用水などの生活用水や、非常用水として利用されています。

深井戸の仕組みと特徴

深井戸とは、不透水層の間にある帯水層(第2帯水層〜)を利用する井戸で、30m以深まで掘削します。この層から汲み上げられた地下水は、上下にある不透水層から圧力を受けていることから「被圧地下水」と呼ばれ、掘削時に水位が上昇して地表に噴出する場合があります。

深井戸のメリットには、豊富な水源から安定した水量と水質を得ることができる点、また一年中水温が一定である恒温性を活かして電気・ガスのエネルギー削減が期待できる点などがあります。さらに、採水された被圧地下水は、地表の影響をほとんど受けていないため、安全性も高いとされています。

井戸水(井水)を利用するメリット

井戸水(井水)を活用する重要性は年々高まっており、例えば東京都台東区では避難所の水を確保するために、平成9年時点で区内の5校の学校用地に新規井戸の設置が実施され、飲料水を汲み上げる深井戸と、生活用水を汲み上げる浅井戸が使い分けられています。

また、茨城県では平成8年より県内30市町村を対象に、耐震水槽の整備や井戸掘削事業等を補助する制度がスタートしました。

加えて、厚生労働省では災害拠点病院、救命救急センター及び周産期母子医療センターについて、「災害時において病院の診療機能を3日程度維持するために設備の増設等が必要な災害拠点病院等に対して、整備に要する経費の一部を支援する」として補助金を交付しています。

そこで、井戸水(井水)が注目を浴びている理由は何か、メリットについて詳しく見ていきましょう。

【参照】
平常時の地下水利用の取り組み事例|国土交通省
災害拠点病院の指定要件の見直しについて|厚生労働省

断水時に水の確保ができる

災害発生時において、最優先すべきことは水の確保です。

実際、仙台市が実施した「東日本大震災に関する市民アンケート調査」の「自宅で不自由を感じたこと」という問いに対して、「断水でトイレ・風呂などの生活用水の確保が困難」と答えた人が49.9%、「食料・飲料水の確保が困難」と答えた人が37.8%と、ほぼ半数の人が安全な水の確保で困ったと回答しています。

特に、病院や避難場所での断水は生死に直結する問題だと言えるでしょう。

安全に利用できる井戸及び水処理設備が整っていれば、公共水道に頼らず、スピーディーに水を確保することができるのです。ひいては事業の継続や地域への貢献にも繋がるでしょう。

水道代の経費が削減できる

水道水と井戸水(井水)の二元給水にすることで、公共水道のみの利用時と比べて20〜50%の経費削減が期待できます。

弊社ゼオライトの井水浄化システムなら、浄化装置をお客様に買い取っていただく買い取り式の他、先行投資・追加投資が不要のオンサイト方式もご提案が可能です。オンサイト方式は、使用した水量に応じてm3当たり単価を支払う方式となっており、修繕費や定期管理費用(※)が別途発生することもありませんので、予算管理がしやすく、長期的なランニングコストの削減にも貢献します。

詳しくは「導入方式」をご覧ください。

※:毎月1回プラントの保守・点検を実施。プラント交換部品などの費用は単価に含まれる。

環境問題に貢献できる

井戸水(井水)の活用は、脱炭素やSDGsへの取り組みにも貢献します。

近年は日本各地で猛暑を記録しており、エアコンを使用する家庭や事業所が多くなりました。

一般的なエアコンは空冷式といって、室内の空気を取り入れて、不要な熱を外へ排出する仕組みとなっているのですが、室外機から排出された熱による空気汚染や地球温暖化、電力消費による電力需給のひっ迫やCO2排出量の増加も問題となっています。

そこで注目を浴びているのが、井戸水(井水)を利用した水冷式のエアコンです。

水冷式のエアコンは「井戸水クーラー」や「井水式クーラー」とも呼ばれ、水が持つ熱を利用して冷たい空気を送風する仕組みになっています。空冷式と比べて使用電力は約10分の1程度となり、室外機もなく排熱もしませんので、環境問題に大きく貢献できます。また、井戸水(井水)を活用したヒートポンプにより地熱利用等で工場等の大型施設のみならず、一般家庭での導入数も増加傾向にあります。

ゼオライトの井水浄化システムとは

ゼオライトの井水浄化システムとは

ゼオライトの井水浄化システムは、地下100〜200mの深井戸から揚水した深層地下水を主に使用しています。地表汚染の影響をほとんど受けない帯水層にある被圧地下水ですので、安定した水質・水量・水温を維持することができます。

また、調査の際に飲料水基準を超える物質が井戸から検出されたとしても、不純物の内容に応じた水処理装置を設計・設置し、水道法第4条の規定に基づく「水質基準に関する省令」で規定されている水質基準に適合した安全な処理水を供給致します。

詳しい仕組みについては「事業紹介井水浄化システム」にてご紹介しています。

加えて、施工期間や地盤沈下、設置スペース等に関する疑問は「よくある質問」でお答えしておりますので併せてご覧ください。

ゼオライトの地下水浄化システムの深層地下水図解

井戸に関するご相談はゼオライト株式会社へご相談を

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上に渡ってお客様の期待を超える「良質な水」と「サービス」を提供し続けてまいりました。

【ゼオライトの実績】

  • 逆浸透膜プラント400件以上(専用水道での国内導入数No.1)
  • 水処理プラント納入実績1,000件以上

小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。
まずはお気軽にご相談ください。

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