PFASの対象物質とは?規制されている物質と特別に許可されている物質について
- 水処理
PFAS(ピーファス)は、炭素とフッ素の強固な結合を持つ有機フッ素化合物の一種です。対象物質は1万種類以上にのぼり、撥水性や耐熱性などの特性から幅広い用途に利用されてきました。
しかし自然界で分解されにくく、人体や環境への影響が懸念されており、現在は3種類のPFASが米国や欧州を含む各国で規制対象とされています。
本記事ではPFASの概要と規制対象物質について解説するとともに、特別に使用が許可されている物質やPFASの除去方法について紹介します。
目次
PFASの対象物質は1万種類以上
PFAS(ピーファス)は「Per- and Polyfluoroalkyl Substances(ペルフルオロアルキル及びポリフルオロアルキル化合物)」という化学物質の総称です。PFASの対象物質は1万種類以上とされており、現時点で確認されているだけでも4,700種類を超えます。
PFASは、炭素とフッ素の強固な結合を持つ有機フッ素化合物の一種です。なかには撥水性や撥油性、耐熱性や化学的安定性などの特性を持つ物質があります。その特性を活かし、フッ素加工のフライパンや撥水加工のされた雨具、汚れを弾くソファやカーペットなど、さまざまな分野で利用されてきました。
一方で、PFASは自然界でほとんど分解されず蓄積していくことが問題視されています。そのため、人体や環境への影響が懸念されており、国際的に規制の動きが広がっています。
関連記事:【更新】PFAS(有機フッ素化合物)とは?規制や除去する方法を徹底解説!
規制対象物質のPFASは3種類

PFASは非常に多くの種類がありますが、現在日本を含め世界的に規制の対象となっているのは3種類です。それぞれの対象物質は便利な特性を持つ一方で、健康や環境への影響が問題視され、国際的な規制が進められています。
ここでは規制対象物質とされている3種類のPFASについて紹介します。
規制対象物質①PFOS
炭素数8の直鎖構造を持つPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)は、「C8」と呼ばれるPFASの一種です。高い撥水性や薬品への耐性を備えており、半導体の反射防止剤、泡消火薬剤、金属メッキの処理剤など、さまざまな用途で利用されてきました。
しかし、自然界で分解されにくく体内に蓄積しやすい性質が指摘され、世界的に早い段階から規制の対象物質となっています。2009年にはストックホルム条約(POPs条約)で廃止対象物質に追加され、日本では2010年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)により、原則として製造や輸入などが禁止となりました。
さらに、水道水に含まれるPFOSとPFOAについては「合計で50ng/L以下」という暫定的な基準値が定められ、全国規模で調査が行われています。
規制対象物質②PFOA
PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、8個前後の炭素が直鎖状につながった化合物で、PFOSと同様に「C8」と呼ばれることがあります。両者の違いは付加している「酸」の種類です。PFOSがスルホン酸基を持つのに対し、PFOAはカルボン酸基を持ちます。
PFOAの用途は幅広く、界面活性剤や食品用包装紙、電子基板など多様な分野で使われてきました。
しかし、その残留性と蓄積性から健康や環境へのリスクが指摘され、2019年にはPOPs条約において製造・使用の廃止が国際的に合意されました。日本では2021年から化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、製造及び輸入が原則禁止となっています。
規制対象物質③PFHxS
炭素数6の直鎖構造を持つPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)は、「C6」に分類され、PFOSやPFOAの代替として使用されてきました。
泡消火剤や衣類の撥水加工、研磨剤及び洗浄剤、コーティングなどの用途に適した物質でしたが、環境中で分解されにくい点はPFOSやPFOAと同様です。健康や生物に対する影響が懸念され、2022年にはPOPs条約で廃絶対象に指定されています。
PFASのなかで特別に使用が許されている物質とは

PFASは健康や環境への影響が懸念され、多くの物質が製造・使用を規制されました。しかし、現時点では代替が不可能と判断された一部の物質については、当面の間、例外的に製造や使用が認められています。
ここでは、PFASのなかで特別に製造・使用が継続されている対象物質について紹介します。
代替できない物質①PFOI
PFOI(ペルフルオロオクチル=ヨージド)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの治療に使われており、PFOA関連物質のなかで代替できない物質として、製造・使用の許可が継続する案が検討されています。
従来、難治性の呼吸器疾患の治療ではコンプレッサー付きの噴霧器が必要でしたが、それは患者にとって大きな負担となっていました。そこで考えられたのが、粉末吸入薬に多孔性微粒子と呼ばれる特殊な粒子を応用する方法です。
この粒子を利用すれば、噴霧器を使わずに薬を肺の奥まで届けることが可能になります。しかし、微粒子の製造にはPFOBという物質が使われており、その原料として最も適しているのがPFOIです。
現状では、PFOI以外で同じ性能を実現できる代替物質が見つかっていないという実情があります。もしPFOIの使用が認められなければ、粉末吸入薬の製造が困難となり、呼吸器疾患の治療に大きな影響が及ぶことが想定されるでしょう。
そのため、ストックホルム条約では医薬品製造を目的とする場合に限り、PFOIの使用を最長2036年まで例外的に認めています。
代替できない物質②8:2FTOH
8:2FTOH(ペルフルオロオクチルエタノール)は、眼科の治療において重要な役割を担う物質です。PFOIと同様に、PFOA関連物質のなかで代替できない物質であり、製造・使用の許可が継続する案が検討されています。
8:2FTOHは、埋込型医療機器の製造に使用されています。埋込型医療機器は、特に「小眼球症」という眼球が正常より小さい先天性の病気の治療に有効とされており、長年にわたり標準的な治療手段として用いられてきました。
8:2FTOHは、成形材料に含まれるPFMAという成分の原料であり、埋込手術の際に機器を適切に設置するための補助的な役割を担います。代替となる医療機器は現在開発中ですが、実用化には至っていないため、現時点では8:2FTOHの代わりは存在しません。
もし8:2FTOHの使用が認められなければ、必要な医療機器の供給が滞り、治療を受ける患者に深刻な影響が及ぶ可能性があります。そのため、ストックホルム条約では医療機器用途に限り、最長2025年までの例外的な使用を許可しています。
参考:第一種特定化学物質に指定することが適当とされたペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質の個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について(案)|環境省
PFASの規制対象物質を除去するには?
規制対象物質となっているPFASは一度環境に出てしまうと分解されにくく、地下水や水道水を通じて人の体や生態系に影響を与えるおそれがあります。国内で令和2年度に行われた水環境の調査結果によると、12都道府県21地点において、水環境の暫定的な目標値(PFOS・PFOAの合計値で50ng/L)の超過が確認されました。
水からPFASを取り除くことは大きな課題となっているものの、通常の浄水方法だと十分ではありません。PFASの除去率が最も高いとされているのは、「逆浸透膜(RO膜)」を使った処理方法です。RO膜は非常に細かい網目によって、PFASをはじめとする有害物質を効率的に取り除くことができます。
実際の検証では、RO膜を利用した処理によってPFOSは99%以上、PFOAは92〜97%が除去できることが確認されました。そのため、RO膜を用いた水処理はPFAS対策において極めて有効であり、安心して利用できる水を確保するために欠かせない技術となっています。
参考:令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について|環境省
関連記事:PFAS(有機フッ素化合物)は何が問題?健康への影響と企業が取り組むべき対策
ゼオライト株式会社の井水浄化システムでPFASを除去

ゼオライト株式会社が提供する井水浄化システムは、逆浸透膜(RO膜)を採用し、地下水を高いレベルで浄化します。RO膜は細菌やウイルスを100%、有害物質を95%以上除去できる技術であり、規制の対象物質となっているPFASについても有効です。
実際にRO膜は、PFOSで99%以上、PFOAで92〜97%を除去できると評価されており、安心して利用できる水を確保できます。
深層地下水を活用することで水道料金の削減や災害時の備えにもつながり、ホテルや病院、商業施設など水を多く使う施設に最適です。ゼオライト株式会社は井戸の掘削からシステム設計、メンテナンスまで一貫して対応し、安全で美味しい水の利用を支えます。
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