2025年10月29日

PFASの処理はどう行う?ガイドラインに基づく安全な処理方法とは

  • 水処理
PFASの処理はどう行う?ガイドラインに基づく安全な処理方法とは

PFASは分解されにくく蓄積しやすい性質を持つため、人体や環境への影響が懸念されています。なかでも世界的に規制が進んでいるPFOSやPFOAは、適切な処理が必要です。

そこで本記事では、PFASを含む廃棄物を安全に処理する方法や注意点、そして水からPFASを除去する技術など、PFASの処理に関する情報をまとめて解説します。

PFASの概要と代表的な物質

PFAS(ピーファス)とは、炭素とフッ素が強固に結びついた有機フッ素化合物の総称です。PFASは1万種類以上も存在するといわれており、現在までに特定されているものは4,700種類以上にのぼります。

そのなかでも代表的なのが、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)という化学物質です。PFOSとPFOAは水や油をはじき、熱・薬品・紫外線に耐性があることから、フライパンのコーティングや食品の包装紙、化粧品などに広く用いられてきました。

しかし、自然環境中で分解されにくい「難分解性」、体内に蓄積しやすい「高蓄積性」、空気や水を介して遠くまで移動する「長距離移動性」といった性質を持っており、人体や生態系への影響が懸念されています。そのため、世界的にPFASの規制やリスク管理の取り組みが進められています。

PFASの処理についてはガイドラインが定められている

PFASの処理についてはガイドラインが定められている

環境省は、ストックホルム条約(POPs条約)でPFOS・PFOAが規制対象になったことを受けて、「PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」というガイドラインを策定しました。

本文書では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づき、PFOSやPFOAを含む廃棄物をどのように処理するべきかが具体的に解説されています。以下では、対象となる物質について詳しく紹介します。

参考:PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項|環境省

参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律|e-Govポータル

対象となる物質

ガイドラインの対象となるのは、以下のようなPFOSやPFOAを含むあらゆる廃棄物です。

  • PFOSやPFOAを使用した製品
  • PFOSやPFOAそのもの(原体)が廃棄物になったもの
  • 上記の製造や使用、廃棄の過程で生じた固形状・液状の廃棄物

代表的なものとして、PFOSやPFOAを含有する泡消火薬剤や、PFOSやPFOAの原体が廃棄されたものが挙げられます。

さらに、使用済みの容器や配管、移し替えに使ったポンプなども、洗浄や清拭を行わなければPFOS・PFOA含有廃棄物として扱われます。これらを洗浄した際に発生する洗浄水や拭き取り布も同様に対象です。

また、製造する工程で排出される廃液や残さ、汚泥などでPFOSやPFOAが含まれる場合も処理対象に分類されます。

参考:PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項|環境省

PFASの分解処理方法

PFASの分解処理方法

PFASは、人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があり、適切な処理が不可欠です。ここでは、環境省が定めたガイドラインで推奨されているPFASの処理方法について解説します。

PFASは焼却処理が有効とされている

PFOSやPFOAを含む廃棄物は、物質が確実に分解される方法で処理しなければなりません。現時点では、高温で行う焼却処理が有効とされています。

具体的には、PFOSを含む廃棄物は約850℃以上、PFOAを含む廃棄物は約1,000℃以上(約1,100℃以上を推奨)での焼却処理が必要とされています。ただし、PFASを確実に分解できる方法であれば、焼却処理以外の方法でも問題ありません。

PFASの保管方法

PFOSやPFOAを含む廃棄物は、速やかに分解処理することが望ましいとされています。しかし、処理設備の都合などで一時的に保管が必要になる場合は、廃棄物の種類や数量、状態などをしっかりと把握し、適切な保管を行わなければなりません。

環境省が定めたガイドラインによると、以下のような保管場所の要件が提示されています。

  • 周囲に囲いが設けられていること
  • 保管場所には掲示板を設置すること
  • 廃棄物の飛散・流出や地下浸透を防ぎ、悪臭が発生しないような環境を整えること
  • ねずみや蚊、ハエなどの害虫が発生しないように対策を行うこと
  • 他の物質が混入しないよう仕切りを設けること

このように、PFASは保管についても厳格な基準が設けられており、廃棄物が周囲の環境に影響を及ぼさないよう徹底した管理が求められています。

参考:PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項|環境省

PFASを処理する際の注意点

PFOSやPFOAを含む廃棄物は、強い環境残留性を持つことから、処理の際には特別な注意が必要です。環境省のガイドラインでは、安全に処理を進めるための重要なポイントが示されています。

ここでは、PFASを処理する際の注意点について解説します。

飛散・流出しないようにすること

PFOSやPFOAを含む廃棄物は、処理工程のなかで飛散や流出が起こらないよう厳重に管理しなければなりません。たとえば、容器から取り出したり、焼却設備に投入したりする際には、必要な部分に囲いや仕切り、流出防止堤などを設けることが推奨されています。

また、定期的に目視による確認を行い、設備や保管環境に不具合がないかを監視することが大切です。しっかりと対策を行うことで、周囲に飛散・流出してしまうリスクを軽減できます。

処理により発生する悪臭・騒音などに配慮すること

PFASの分解処理を行う際には、悪臭や騒音、振動といった周辺環境への影響にも注意しなければなりません。特に泡消火薬剤のように発泡性を持つ廃棄物は、処理設備に投入する際にトラブルが発生する可能性があるため、慎重な対応が必要です。

また、PFOSやPFOAを高温で焼却処理すると、強い腐食性を持つフッ化水素が副生成されることが懸念されています。そのため、時間当たりの投入量を適切に管理することが重要です。

さらに、新たに分解処理施設を設置する場合や、前処理のために別の設備を使用する場合にも、飛散・流出・悪臭・騒音・振動といった生活環境への影響を防ぐ措置を講じる必要があります。

ゼオライト株式会社では、こうしたガイドラインに基づき、PFASを含む廃棄物を適切に処理できる体制を整えています。専門的な知識と実績に基づいて管理を徹底しているので、処理に関しても安心してお任せください。

参考:PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項|環境省

水からPFASを処理するには?

水からPFASを処理するには?

PFASは廃棄物に限らず、水道水や地下水を通じて人の健康や環境に影響が及ぶ可能性があります。そのため、水道水や地下水に含まれるPFASを取り除く必要がありますが、従来の浄水処理だと十分ではありません。

そこで有効な方法として活用されているのが「逆浸透膜(RO膜)」を利用した処理です。RO膜は非常に細かい網目により、細菌や有害物質を効率的に除去できます。実際に、RO膜を使った処理によりPFOSは99%以上、PFOAは92〜97%の除去が確認されました。

このように、PFASを安全に除去するためにはRO膜を用いた水処理が効果的とされており、水の安全性確保において重要な役割を担っています。

ゼオライトの逆浸透膜(RO膜)技術について詳しくはこちら>

関連記事:【更新】PFAS(有機フッ素化合物)とは?規制や除去する方法を徹底解説!

ゼオライト株式会社のPFAS処理技術と井水浄化システム

PFASをはじめとする有害物質を除去するためには、逆浸透膜(RO膜)を使った高度な水処理が有効です。ゼオライト株式会社ではRO膜を活用し、地下水から不純物を取り除いて安全で高品質な水を供給する「井水浄化システム」を提供しています。

井水浄化システムでは、地表汚染のリスクが少ないとされる深層地下水を利用し、水質や用途に応じて最適な設計・施工を実施。災害時にも安定した水源を確保できることで、事業継続計画(BCP)や地域貢献の観点からも注目されています。

さらに、地下水を日常的に活用することで水道料金を抑えられ、長期的なコストメリットも期待できるでしょう。

ゼオライト株式会社の井水浄化システムは、経済性・安全性・持続性を兼ね備えた水処理ソリューションとして、ホテルや病院、商業施設など多くの施設で導入されています。安心して利用できる水環境をお求めの方は、ぜひ一度ご相談ください。

ゼオライト株式会社の井水浄化システムについて詳しくはこちら>

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水処理プラントに関するご相談はゼオライト株式会社へ

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上にわたってお客様の期待を超える「良質な水」と「メンテナンスサービス」を提供し続けてまいりました。

高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)の飲料化から、排水再利用まで、水にまつわるお困りごとを解決いたします。

【ゼオライトの実績】

  • 逆浸透膜プラント500件以上(専用水道での国内導入数No.1)
  • 水処理プラント納入実績1,400件以上

小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。お気軽にご相談ください。

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