2025年10月15日

井戸の洗浄は必要?トラブルの原因や井戸の洗浄頻度、おすすめのメンテナンス方法を紹介!

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井戸の洗浄は必要?トラブルの原因や井戸の洗浄頻度、おすすめのメンテナンス方法を紹介!

井戸の洗浄を長年しないままだと、水質の悪化や揚水量の低下といったトラブルが発生することがあります。

とくに、目詰まりや設備の劣化の放置は井戸の機能を低下させ、最悪の場合使えなくなってしまうことも。

そのため、病院や宿泊施設、商業施設など、安定した水供給が求められる場所では、井戸の洗浄を無視することはできません。

本記事では、井戸の洗浄を怠るとどんなリスクがあるのか、具体的な洗浄方法、適切なメンテナンスの頻度について詳しく解説します。

安全で安定した井戸水を利用し、施設の運営を維持させるためにも、井戸の洗浄について確認しましょう。

井戸の洗浄を怠るとどうなるのか

井戸水を安全に利用し続けるためには、定期的な洗浄やメンテナンスが欠かせません。洗浄を怠ると、次のようなトラブルが発生するリスクがあります。

  • 揚水量の低下
  • 孔内水位の低下
  • 水質の悪化・汚染リスク
  • 設備の劣化・故障

一つずつ確認していきましょう。

揚水量の低下

井戸の洗浄を怠ると、揚水量が低下しやすくなり、事業継続に必要な水量の確保が難しくなります。

なぜ揚水量が減ってしまうかと言うと、井戸内やスクリーン(取水口部分)に汚れや堆積物が蓄積し、地下水が井戸内に流れ込む通路を狭めてしまうからです。

そうすると、水が通過しにくい状態になり、井戸内の水量が少なくなるため、ポンプで汲み上げることができる水の量も減少してしまうのです。

孔内水位の低下

井戸の洗浄を怠った状態では、実際の地下水面から水が採取される位置、すなわち孔内水位にも影響が及びます。

理由としては、井戸の目詰まりが進行することで、本来スムーズに流入するはずの地下水がストレーナー部分で妨げられ、結果として井戸内の水位が低下するからです。

また、長期間メンテナンスを行わないことで井戸内部に沈殿物が蓄積し、物理的に有効な貯水スペースが狭まることも原因の一つだと言えます。

このような状態では、ポンプの運転効率が著しく低下し、必要な水量を確保できなくなるでしょう。

水質の悪化・汚染リスク

井戸を長期間洗浄しないでいることは、水質の悪化や汚染リスクといったトラブル発生の原因にもなります。

これは、井戸内に堆積する汚れや微生物の繁殖によって引き起こされ、結果として水の衛生状態が損なわれるためです。

また、井戸の中に細菌や藻類が繁殖してしまえば、水中に有機物が増え、病原菌が発生しやすい環境が整ってしまいます。

とくに、大腸菌やレジオネラ菌などの増殖は、人体への健康被害が懸念されるため、病院や宿泊施設では大きな問題になることも考えられるでしょう。

設備の劣化・故障

井戸の洗浄を長期間行わないと、設備の劣化や故障にも繋がります。

井戸の内部には堆積物が、井戸の底には砂や泥が溜まりやすい状態です。そのため、これらを放置するとポンプの負荷が増加し、最悪の場合、故障するかもしれません。

また、ポンプが詰まると吸い上げる水量が減少し、井戸の能力自体が低下してしまうことも考えられるでしょう。

井戸トラブルの原因

井戸トラブルの原因

井戸トラブルには、揚水量や孔内水位の低下、井戸の故障などがありますが、ここではその原因を詳しく解説していきます。

主な原因は次のとおりです。

  • 目詰まり・汚れ
  • 地下水位の変動
  • 経年劣化

それぞれ詳しく確認しましょう。

原因1. 目詰まり・汚れ

井戸の目詰まりや汚れは、地下水に含まれる成分や汚れが堆積したり、微生物が繁殖することによって生じます。

例えば、鉄分やマンガンが固形化したものや、カルシウムやマグネシウムなどの堆積からできるスケールと呼ばれる硬い層によって、井戸のストレーナー部分に付着することで、水流が妨げられてしまうのです。

また、水中に存在する微生物の繁殖も目詰まりや汚れの一因であり、井戸の内部は、温度や水質によっては細菌や藻類が繁殖しやすい環境になります。

とくに、鉄バクテリアや硫黄細菌は、井戸内にバイオフィルム(粘着性のあるスライム状の物質)を形成して、ストレーナーや配管内にこびりつきます。

この状態が続くと、ポンプの吸込み部分が詰まるだけでなく、水の色や匂いに異常が出ることもあるので注意が必要です。 

原因2. 地下水位の変動

地下水は自然環境や人為的な影響を受けて水位が上下し、これによって井戸の揚水能力や水質に問題が生じることがあります。

地下水位が低下する主な要因は降水量の変化です。

地下水は雨水や雪解け水が地中に浸透することで補充されるため、降水量が少ない期間が続くと、地下水の供給量が減少します。

とくに干ばつや異常気象の影響を受けた場合は地下水の回復が追いつかず、井戸の水位が徐々に下がってしまうこともあるでしょう。

また、近隣で大量の地下水を利用する施設がある場合も、地下水位の低下につながります。

一方で、地下水位が急上昇する場合も問題となることがあり、例えば、大雨や洪水の後に地下水が急激に増えると、井戸内に泥や異物が流れ込み、水質が悪化する可能性が考えられるのです。  

原因3. 経年劣化

井戸の経年劣化も井戸トラブルを引き起こす原因の一つです。

例えば、長年の使用により、ケーシングやストレーナー、配管やポンプ設備などの腐食や摩耗、破損などが生じやすくなるでしょう。

とくに、鉄製のケーシングは徐々に錆びていくため、この錆が内部に剥がれ落ちることで目詰まりが生じてしまうこともあります。

また、ストレーナーが破損すると、砂や泥が井戸内に流れ込みやすくなり、ポンプや配管に負担がかかってしまったり、ポンプのモーターや軸受けも長期間の使用によって摩耗することで異音や振動の原因となります。

最悪の場合、井戸水の供給が完全に停止する事態にもなりかねません。

井戸の洗浄方法

井戸の洗浄方法にはいくつかの方法があり、それぞれ異なる特徴を持っています。ここでは、主な洗浄方法として、次の5つを紹介しましょう。

  • ブラッシング
  • エアーリフト
  • スワビング
  • バッグウォッシング
  • 薬品洗浄

井戸の状態や汚れの種類に応じて適切な方法を選び、場合によっては併用するのもおすすめです。

ブラッシング

ブラッシングは、専用のブラシを使って井戸内の壁面やストレーナーに付着した汚れを物理的にこすり落とす方法です。

とくに、鉄分やマンガンの沈着、藻類の付着などがある場合に効果的で、井戸の構造を傷つけることなく清掃を行うことができます。

ブラッシング後には、除去した汚れを効率的に排出するために、他の洗浄方法と組み合わせることが一般的です。

エアーリフト

エアーリフトは、圧縮空気を井戸の中に送り込み、井戸内の水や汚れを吹き上げる方法です。

空気の力を利用して水流を発生させることで、ストレーナーや井戸底に溜まった砂やスライム状の汚れを排出します。

とくに、井戸の目詰まりが進行している場合や、スワビングやバッグウォッシングの前処理として活用されることが多いです。

スワビング

スワビングは、井戸の内部に特殊なピストン状の器具を出し入れし、水流を発生させることで汚れを剥がし落とす方法です。

ストレーナーの目詰まりを解消し、井戸内の流れを改善するのに適しています。

とくに、ブラッシングやエアーリフトと組み合わせることで、より高い洗浄効果を得ることができます。

バッグウォッシング

バッグウォッシングは、井戸内に水を逆流させることで、ストレーナーや配管内部の汚れを洗い流す方法です。

通常の揚水とは逆方向に水を流すため、目詰まりの原因となる鉱物成分や細かな砂などを効果的に取り除くことができます。

とくに、地下水の鉄分やマンガンによる詰まりが生じている場合に有効です。

薬品洗浄

薬品洗浄は、専用の薬剤を井戸内に投入し、化学反応によって汚れを溶解・分解する方法です。

鉄バクテリアやスケールの蓄積が激しい場合には、物理的な洗浄だけでは十分に除去できないため、薬品を使用することでより徹底的な洗浄が可能となります。

ただし、薬剤の種類や濃度を適切に管理し、井戸水の安全性を確保することが重要です。

井戸洗浄の頻度

井戸の洗浄頻度

井戸の洗浄頻度は水質や現場の状況によって異なりますが、一般的に5年程度を目安に行うと良いでしょう。

しかし、場合によっては5年よりも早く洗浄すべきケースも多く、以下のような場合は5年待たずに洗浄することが推奨されます。

  • 地下水に鉄分やマンガンが多く含まれる
  • 使用頻度や揚水量が多い
  • 水質の変化が見られた

地下水に鉄分やマンガンが多く含まれる地域では、井戸のストレーナーや配管に沈着物が蓄積しやすく、目詰まりが発生する可能性が高くなります。そのため、こうした環境では5年を待たずに洗浄が必要になることも多いでしょう。

また、病院や宿泊施設、商業施設などで井戸水を日常的に利用する場合、一日を通じて大量の水を使用します。するとポンプや配管に負担がかかりやすく、汚れの蓄積も早まる傾向にあるので、早めの洗浄が必要です。

最後に、井戸水に異臭や濁りが見られるようになった場合は、ストレーナーや配管内部に細菌やスケールが蓄積している可能性が高く、水質悪化による健康被害などが懸念されるため、こちらは直ちに洗浄を行ってください。

なお、上記以外でも5年以内の洗浄が推奨されるケースはあるため、井戸の洗浄頻度については、定期的な水質検査を行ったうえで、専門業者に判断してもらうのが安心です。

洗浄以外の井戸のメンテナンス方法

井戸水を安心して使い続けるために、洗浄はもちろん欠かせませんが、ほかのメンテナンスも必要です。ここでは、ゼオライト株式会社でも取り扱いのあるメンテナンス方法として、以下の4つを簡単に紹介します。

  • 井戸ポンプ入れ替え
  • 井戸孔内カメラ調査
  • 浚渫工事
  • 二重ケーシング

はじめに、井戸ポンプの入れ替えは、揚水能力を維持するために不可欠なメンテナンスのひとつです。ポンプは長期間の使用により摩耗し、性能が低下するため、定期的な点検と適切なタイミングでの交換が必要になります。

次に、井戸孔内カメラ調査は、井戸内部の状況を詳細に把握するための重要な手段です。カメラを挿入することで、ストレーナーやケーシングの損傷、目詰まりの程度、異物の混入などを可視化し、必要な対応を判断できます。

浚渫(しゅんせつ)工事は、井戸の底に堆積した泥や砂を取り除く作業です。長年の使用によって、沈殿物が井戸底に溜まると、揚水量が減少してポンプに負荷がかかるため、浚渫を行う必要がでてくるでしょう。

最後に、二重ケーシングは、井戸の耐久性を高めるための補強工事のひとつです。既存の井戸の内側に新しいケーシングと砂利を入れることで、一重目のケーシングが壊れてしまっても井戸の利用ができるようにするという目的があります。

なお、これらのメンテナンス方法を適切に組み合わせることで、井戸の機能を長持ちさせ、安定した水の供給を確保することができます。

ゼオライト株式会社では、これらすべてのメンテナンスを提供しており、井戸の状態に応じた最適な対応を行うことが可能です。

井戸の洗浄は安全で安定した水の供給に欠かせない!

井戸の洗浄は、トラブルを未然に防ぐだけでなく、病院やホテルなどの大規模施設が安全に井戸水を利用し、安定した運営を続けるためにも欠かせません。

井戸トラブルの原因には、井戸内部の目詰まりや汚れ、地下水位の変化、経年劣化などがありますが、いずれも定期的に適切な洗浄とメンテナンスを行うことで、急なトラブルを防ぎ、安定した水供給を維持することができます。

つまり、施設の特性や井戸の使用状況を考慮しながら、最適なメンテナンススケジュールを策定することが、井戸を長期的に活用するための重要なポイントなのです。

私たちゼオライトでは、新規の井戸の掘削から定期的な洗浄・メンテナンスまで井戸に関するサービスを提供しております。

専門的な技術と豊富な経験を持つ技術者による、最適な洗浄・メンテナンス方法をご提案いたしますので、井戸の洗浄にお悩みの施設ご担当者様はお気軽にお問い合わせください。

井戸の洗浄に関するご相談はゼオライト株式会社へ

ゼオライト株式会社は、水処理プラント及びメンテナンス事業を軸に、50年以上にわたってお客様の期待を超える「良質な水」と「メンテナンスサービス」を提供し続けてまいりました。

高い技術提案力とお客様第一主義の精神で、井戸や井戸水(井水)にまつわるお困りごとを解決いたします。

【ゼオライトの実績】

  • 逆浸透膜プラント500件以上(専用水道での国内導入数No.1)
  • 水処理プラント納入実績1,400件以上

小型の業務用装置から大規模プラント、災害対策用ユニット型浄水設備まで、幅広い対応が可能です。お気軽にご相談ください。

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